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第4回産業日本語研究会・シンポジウム開催のご案内

開催の趣旨について

平成25年1月

産業日本語研究会では、産業用文書の作成に適し、産業分野・科学技術分野における情報発信力や知的生産性の飛躍に貢献するとともに、わが国産業界全体の国際競争力の強化に資する日本語(「産業日本語」と呼称します)に関し、昨年に引き続き「第4回産業日本語研究会・シンポジウム」を下記のとおり開催することになりました。
 本シンポジウムでは、産業日本語活動の報告を行うとともに、文書を客観的に分かり易くするための他分野での取り組みとして、テクニカルコミュニケーションやシステム・ソフトウェアの開発文書ライティング等の各種取り組みのご紹介も交えながら、執筆・利用・翻訳など、それぞれの立場で日本語文書に関わりを持つ方々が一堂に会し、産業日本語活動の新しい展開のきっかけとなる場にしたいと考えております。
 また、前回に引き続き、関連技術デモ展示に触れていただき、産業日本語を実感していただくことも予定しております。

本シンポジウムは、以下の日時、内容にて行います。参加費は無料です。ぜひ多数の方にご参加いただきたく、ご案内申し上げる次第です。よろしくお願いいたします。

 

顧問:長尾  眞 (京都大学名誉教授)

代表:井佐原 均 (豊橋技術科学大学)
    辻井 潤一 (マイクロソフトリサーチアジア研究所)
    橋田 浩一 (産業技術総合研究所)
    隅田英一郎 (情報通信研究機構)
    横井 俊夫 (日本特許情報機構 特許情報研究所)
    潮田  明 (株式会社富士通研究所)
    松田 成正 (日本特許情報機構)


■主催:

高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)、言語処理学会、一般財団法人日本特許情報機構(Japio)

■後援:

総務省、経済産業省、特許庁、国立国語研究所、情報通信研究機構、工業所有権情報・研修館、情報処理学会、人工知能学会、アジア太平洋機械翻訳協会

■日時:

平成25年3月1日(金) 午後1時 ~ 午後5時30分

■場所:

東京大学 情報学環・福武ホール ラーニングシアター (東京大学 本郷キャンパス)

■目的:

~産業日本語活動の新しい展開に向けて~

■参加費:

無料(事前登録制)

 


<< プログラム >>

(1)開会挨拶 13:00 - 13:10

長尾 眞 京都大学名誉教授

第一部 13:10 - 16:15

(2)招待講演 米国におけるテクニカル・ライティングの設計と実施における諸問題 13:10 - 13:40

三田村 照子 カーネギーメロン大学教授

概要: 米国においてテクニカル・ライティングのマニュアルを設計をするにあたり、簡素化された英語、または「制限言語」というのはどういうものかを紹介し、その実施における諸問題について、言語学からの観点とテクニカル・ライターから見た問題点について考察する。また「制限言語」の使用にあたり、機械翻訳、英語教育などの目的や支援システムの設計について、経験に基づいた問題点や導入しやすい条件などについても言及する。

(3)講演1 特許版・産業日本語の取り組み紹介 13:40 - 14:40

-特許ライティングマニュアル-

松田 成正 一般財団法人日本特許情報機構 調査研究部長/特許版・産業日本語委員会委員

概要: 人に理解しやすく、機械翻訳など言語処理技術を活用するコンピュータにも処理しやすい日本語研究のうち、特に特許情報へ応用することを念頭にしたものを「特許版・産業日本語」委員会で研究・分析してきた。その研究・分析の1つの成果である、特許明細書作成実務に密着した「特許ライティングマニュアル」について紹介する。

 

-図式クレームに基づく請求項文ライティング(構造化レベル)-

横井 俊夫 一般財団法人日本特許情報機構 特許情報研究所顧問/特許版・産業日本語委員会委員

概要: 図式クレームというグラフィカルな表現ツールを用いた請求項文(クレーム文)のライティング方式を紹介する。請求項(特許請求の範囲)は、特許文書の中枢に位置付けられ、特許文章の多くの課題が請求項文に由来する。請求項文を精度高く、効率良く作成・翻訳・検索できるようにすることは、特許文章全体の作成・利用工程を大きく改善することに資する。請求項文ライティングために、請求項文表現の高水準表現メディアとして、図式クレーム(新たなパテントマップの一種)を提案する。構造化レベルの図式クレームは、構造化言語(図的表現要素を加味された自然言語)を請求項文表現に適用したものである。構造化言語は、論理的な情報を的確に表現するためにデザインされた(自然)言語であり、産業文書・技術文書に広く活用されることを目指す。図式クレームは、請求項文を含む特許文章に対する効果的なライティングマニュアル作成やライティング支援システム開発に向け大きな役割を担うことになる。

 

-図式クレームに基づく請求項文ライティング(オントロジー化レベル)-

橋田 浩一 独立行政法人産業技術研究所 知能システム研究部門上席研究員/特許版・産業日本語委員会委員

概要: 図式クレームに形式的な基盤を与えることによって自動処理の範囲を明確化するため、オントロジーに基づいて図式クレームを定式化する方法と、ユーザインタフェースに関連する課題について解説する。また、そのような定式化に基づく自動処理の可能性について述べ、それに必要な研究開発について論ずる。

 

-総合的な特許ライティング支援環境-

谷川 英和 IRD国際特許事務所 所長 弁理士/特許版・産業日本語委員会委員

概要: 特許ライティングを総合的に支援する特許ライティング支援環境、およびその評価について紹介する。特許ライティング支援環境は、以下の3つのシステムから構成される。
1)特許明細書を半自動生成する「PatentGenerator」  本システムにおいて、明細書から再利用され得る文章を自動抽出し、特許部品データベースを構築する。そして、本システムは、特許部品データベースから必要な文章を自動取得することにより、明細書の約40%を自動生成できる。
2)特許請求の範囲の読解を支援する「Patent Structure Viewer」  本システムは、特許請求の範囲を解析し、請求項の構造を図的に示す特許請求項の細粒度解析機能、請求項の特性も示す注釈付きクレームツリー出力機能等を有し、特許請求の範囲の可読性を大幅に向上する。
3)特許明細書の可読性を診断する「KnowledgeMeister文書診断」  本システムは、特許請求の範囲、明細書の表現の可読性を診断するシステムであり、人が理解しやすい文章、および高品質な機械翻訳を行うための文章の作成に寄与する。

《 休憩 15分 》

(4)講演2 産業文書に関する言語処理技術の開発と期待 14:55 - 15:15

井佐原 均 国立大学法人豊橋技術科学大学 情報メディア基盤センター教授

概要: 自然言語処理の研究と、企業での文書処理のニーズとは十分に情報交流が行われているとは言い難い。このような観点から、産業文書に対する自然言語処理技術の可能性を実例に沿って概説する。具体的には前編集・対訳辞書・後編集など、翻訳プロセスの中での支援を中心に、産業日本語研究会や関連の活動を通しての企業との関わりの中で始めた企業の実文書の処理に対する支援技術について述べる。

(5)講演3 『日本語スタイルガイド』の活用とTC技術検定 15:15 - 15:35

高橋 尚子 一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会 専務理事/國學院大學経済学部教授

概要: テクニカルコミュニケーター協会では、2009年に「日本語スタイルガイド」という書籍を発行した。本書は、読者対象を大学生から若手の社会人に想定し、文章作成時に机に置いて、表記や用字・用語などのガイドラインとして活用できるよう企画した。また、「テクニカルコミュニケーション(TC)技術検定試験3級テクニカルライティング」のガイドブックとしても位置付けている。本書の中心部分の紹介、活用方法、TC技術検定の概要、テクニカルコミュニケーションの重要性などを解説する。

(6)講演4 システム開発文書の品質とはなにか 15:35 - 15:55

藤田  悠 システム開発文書品質研究会(ASDoQ) 事務局長/長野工業高等専門学校助教

概要: 情報システムや組込みシステムを開発する過程で、システムの要求者や開発者は要求仕様書や設計書などの開発文書を作成します。その文書を介して開発を進めるので、限られた開発期間と費用に応じた品質を確保するために十分な開発文書である必要があります。それでは、開発文書の品質はシステム開発にどのような影響をあたえるのでしょうか。どのような文書がシステム開発に十分であるといえるのでしょうか。どうすれば、開発にふさわしい文書を作成することができるでしょうか。本発表では、これらの疑問の解決に向けて、ASDoQが取り組んでいる活動を紹介します。

(7)全体討論 質疑応答 15:55 - 16:15

 

第二部 16:15 - 17:30

(8)産業日本語関連デモ展示の紹介(各5~10分) 16:15 - 17:00

特許明細書半自動生成システム PatentGenerator 有限会社アイ・アール・ディー

概要: 請求項から特許明細書の約40%を半自動生成する特許明細書半自動生成システムPatentGeneratorをデモ展示します。

 

可読性診断技術 ―産業日本語ライティング支援への活用― 東芝ソリューション株式会社 IT技術研究所

概要: 理解しにくい文の特徴を考慮した診断規則に基づいて、文の可読性を診断します。 診断結果に基づいて文を修正することにより、読みやすい文章を作成することができます。また、機械翻訳の前処理に利用すると、誤訳しやすい表現を指摘するので、簡単に修正して翻訳精度を向上することができます。

 

Patent Structure Viewer 株式会社インテック

概要: 特許書類における「特許請求の範囲」の部分の解析を行い、その読解を支援します。
 ■複数の特許請求項の引用関係を視覚的に分かりやすく表示します。
 ■特許請求項の構造を視覚的に表示します。 特許請求項における特徴的単語を強調表示します。

 

特許意味検索のプロトタイプシステム 株式会社富士通研究所 メディア処理システム研究所

概要: 文の意味構造を活用した、自然文入力による特許ランキング検索のプロトタイプシステムを開発しました。構文解析および意味解析を経て得られた、語と語の間の意味的繋がりを検索の類似度評価に取り入れることにより、従来のキーワードベースの検索システムに比べ、よりユーザの意図に沿った表現を多く含む特許を検索することが可能になります。

 

データベースアプローチに基づく特許機械翻訳システム 有限会社サイバープロ

概要: 従来の機械翻訳アプローチである、ルールベース、統計ベース、事例ベースに対し、データベースアプローチは、完全対訳節と完全名詞句からなるデータベースの構築と、その応用としての機械翻訳という2段階アプローチをとっている点であり、節の構造を分解しないで、対訳節を対応させている点で特徴がある。これにより、従来自然でわかりやすい翻訳のためには、対訳文の構造を代えなければいけない文の翻訳品質を格段に向上させることができる。また、翻訳に対し、なぜこのような訳になっているかを示すアカウンタビリティ機能がついている点で特徴がある。

 

多角的な文書比較『歌詠』とカスタマイズ容易な日本語精査『鶯』 株式会社クレステック/アイビー・システム株式会社

概要: 歌詠は、任意の文書を多角的に比較し、差分を対比表形式で表示するツールです。段落や文ごとの類似度を指定して目的に合った比較ができます。 鶯は、オープンソース形態素解析エンジンMeCabの結果から、文章が正しいか、業界ルールに従っているか判断してコメントするツールです。精査ルールの一部は、カスタマイズが可能です。

 

翻訳支援環境の研究開発 独立行政法人情報通信研究機構  ユニバーサルコミュニケーション研究所 多言語翻訳研究室

概要: 情報通信研究機構(NICT)は、我が国の経済の成長と発展、豊かで安心・安全な社会の実現の原動力である情報通信技術(ICT)分野の研究開発と事業振興業務 を進めております。多言語翻訳研究室では、産業や文化の発展に資する多言語翻訳技術の研究開発を進めています。本展示では、翻訳支援環境についてご紹介します。

 

(9)産業日本語関連デモ展示セッション (於 デモ会場) 17:00 - 17:30

 

第三部 17:30 - 19:00

懇親会・意見交換セッション

※第二部産業日本語関連デモ展示セッションは、福武ホールスタジオ2,3において、出展各社の説明員によるデモンストレーションを行います。

※第三部懇親会は、福武ホールスタジオ1(スタジオ2,3と一体)にて、ささやかですが、飲み物など準備しておりますので、こちらも是非ご参加の上、参加の方々でご交流ください。

■事前申込締切: 2月22日(金)
満席になりましたので、申し込みを締め切らせていただきます。

■事前申込先:
第4回産業日本語研究会・シンポジウム申込みへ  

■シンポジウム全般のお問い合わせ先:
  第4回産業日本語研究会・シンポジウム事務局 担当 信(のぶ)
  (一般財団法人テレコム先端技術研究支援センター内)TEL 03-3351-8423